本屋のひとりごと9
昨年お会いした宗教人の方から手紙をいただいた。その中に芥川賞受賞作家の村田喜代子さんの言葉があった。 「人は、自分の考えを人に広め、人の考えをわがものにしようとする、ほかの動物にない、優れた才能をもっています。 もし活字や本がなかったら、自分一人だけの体験と、一生のうちに出会うことのできる人から聞く体験以上の体験は、得られません。 活字を読むことによって、私たちは、好きな時に、どこにいても、時空を超えて、広い世界と自由に出あえるのです。インターネットで便利になったとしても、図書館や書店で探すことのできる、すべての本の情報量にはかなわないでしょう。 何といっても、印刷文化が始まって以来、500年以上の長い間の財産が本の世界には蓄えられているのですから。映像には、心に及ぼす強い力、瞬時に何かを伝える迫力があります。それに比べ、活字の場合は書き手の思考の時間を、読む側がもう一度なぞる努力が必要です。理解しようとする手間のかかる分、その間に、読む人の心が開かれ、より深いコミュニケーションが生まれるのです。」と。
活字中毒とは、よく云われるがその症状が進むとすごいことになるようだ。 活字禁断症・・・本を読まずにはいられない、文字を読まずにはいられな い。不幸にも手元に本がないとき、どんな活字でもいいから、すべての文 字を読んでしまう症状。 ○ 出張に行くとき、洗面道具や名刺を忘れても、必ず数冊の本はバックに 入っていないと安心できない。 ○ わずか20分電車に乗るとき活字がないと不安になり、駅の売店で週刊 誌を買ってしまう。不幸にも買えなかったときは中吊り広告を一両分目 で追う。 ○ 自宅のテーブルの上に、食事を置くスペースの他に新聞は最低2誌、昨 日読んだ本、今読みかけの物、等々がないと箸をもたない。 ○ 深夜、読みかけの本を読み終わってしまうと、子供のランドセルから教 科書を取り出す。 他色々。