本屋のひとりごと その24
あいかわらず乱読が続いている。ミステリー、伝記的なもの、歴史、理系、旅行記的なもの、超常現象・・・。本は書き手(作家、研究者、その道にのめりこんでいる人等々)の考えが本論にからませて時々出てくる。特に職業作家は、出版、読書に関することにが多いようだ。 宮本輝の本に下記が何行かあった。 内容の濃い、人間の精神を高める書物が売れなくなって久しい。いつになったら、人々は自分を高めてくれる優れた書物を求め始めるのか。金持ちになる方法だとか、株で一発当てる秘策だとか、なんとかのジュースでダイエットはできる、などという本がベストセラーになりつづける時代はいつまでつづくのか。一冊千円かそこらの薄っぺらな本を読んで金持ちになれるはずもなければ、病気が治るはずもない。だがいまの人々の多くは真の意味での良書に自分のお金は使わず、いわゆるハウツー物を読みあさっている。ハウツー物や、それに類した本が売れる時代は衆愚の時代なのだと言った人がいるが、そんな時代がこの日本では長く続いている。しかし、この日本も、いつまでもそんな時代が続くとは思えない。やがて軽佻浮薄な本に飽きて、優れた文学や学術書などに触れたくなるときがくるであろう。だが人々の機が熟しても、名作と称されるものの多くは書店の棚から消え、図書館で捜すことも困難になっているであろう。